温泉が身体に良いとされるのは、温泉に溶け込んでいる化学物質が皮膚を刺激したり吸収されたりすることで、身体に良い影響を及ぼすからです 。
また、温泉に入ると免疫機能であるリンパ球やNK活性(がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞の強さで、免疫力の指標のひとつ)が高まり、免疫機能がアップするという研究データもあります。
その他にも、温泉地に行くと気持ちがリラックスし、自律神経に作用するホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン等)の分泌が活発になります。これによって、睡眠障害といったストレスによる症状にも効果があります。
油壺温泉の特徴1
油壺温泉は、環境省の「鉱泉分析法指針」に基づき、温泉のうち「特に治療の目的に供し得るもの」に認められる「療養泉」です。温泉に含まれる成分が1Kg中に1g以上で療養泉になり、さらに10g以上あると「高張性の温泉」に分類されますが、油壺温泉は、1kg中に17.6gと、療養泉の基準の17倍以上も溶存物質が含まれている高張性の温泉となっています。高張性の温泉は浸透圧が高いため、脱水作用や角質の剥離、滅菌作用等があると言われています。
油壺温泉の特徴2
泉質は「ナトリウム塩化物泉」で、塩化物泉は身体の芯からポカポカ温まり、出浴後の保温効果も高いうえ、弱アルカリ性で保湿効果も期待できます。さらに、油壺温泉には、天然の美肌・保湿成分と言われ化粧水にも含まれる「メタケイ酸」が温泉法の基準より多く含まれており、肌の新陳代謝が促進される作用が期待できます。
油壺温泉の特徴3
地下1,500mの地層「葉山層群」から湧き出す温泉で、太古の昔、地殻変動で古い海水が地中に閉じ込められた海水に、周囲の地層由来の成分や海藻・草木等が溶け込み「化石海水」となったものが源泉となっています。油壺温泉の特徴である微黄褐色は、この化石海水に含まれる「フミン酸」によるもので、保湿性能があり、肌に潤いを与えると言われています。
温泉効能・適応症
きりきず、抹消循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症、筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、ねん挫等の慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまる等)軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安症、ストレスによる諸症状(睡眠障害等)、病後回復期、疲労回復、健康増進
一般的に入浴に適さない症状
病気の活動期(特に熱のある場合)活動性の結核、進行した悪性腫瘍または高度の貧血等身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓または肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える重い出血のあるとき。慢性の病気の急性増悪期の方は、基本的には入浴に適さない症状とされています。
より湯治の効果を得る温泉の入り方
油壺温泉は、泉質が濃いため、1回の入浴でも効果は感じられるものの、継続して入浴することで、より湯治の効果が期待できます。「湯あたり」が1週間以内に現れることが多いことを考えますと、理想的には、2~3週間程度の湯治をしたいものです。体調を崩したら、一時入浴を中止し、復調したらまた入浴しましょう。湯治は必ずしも毎日入浴するのではなく、治癒の過程で体に痛みが出たときや、「湯あたり」をしたときは、入浴しない休息日をとりましょう。
1例として1週間の湯治の場合は、以下のような入浴があります。
1日目:1回の温泉入浴
2日目:2回の温泉入浴
3日目:3回の温泉入浴
4日目:温泉ではない風呂に入浴(※湯治効果で体の不調部分に痛みが出てくる場合は温泉には入らない)
5日目:3回の温泉入浴
6日目:2回の温泉入浴
7日目:1回の温泉入浴
湯治は上記の入浴を2~3回(2~3週間)行うのが理想的です。
それだけ長期間温泉地に滞在できる方は少ないと思いますが、連続5~6日間でも効果が見られる場合が多いとも言われています。
または、週1回の温泉入浴を半年程度続けても、連続湯治と同じ効果が得られるため、曜日を決める等して、毎週温泉入浴をする習慣をつけるのも「万病予防」に効果が期待できます。